3)頭から動いて、体はついていく。

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3)頭から動いて、体はついていく

 

ちょっと右を見てみてください。次に左の方を見てみてください。今度は、どんな風に頭が動いているか意識してやってみてください。首や肩の緊張、頭の重さなどなどを感じながら、自分がどんな風に頭を回しているのか、興味を持ってやってみてくださいね。正しいとか間違っているということはありません。

次に、目を使ってゆっくりと景色を見ながら右を見てください。同じように左を見てください。

1、2回目と3回目の今となにか違いがありましたか?

1、2回目は“頭を動かしました”よね。3回目は目が動いたので自然と“頭が動いてしまった”のではありませんか? カラダはどうでしたか?3回目の時は、カラダも自然とねじれていきませんでしたか?

私たち人間を含む脊椎動物はみんな、目で追う方に頭が動き、それが脊椎に伝わり、カラダ全体がついていくようにデザインされています。

たとえば、野生のチーター。美しく走っている姿を写真などで見たことがあると思いますが、カラダが先に動いてしまって、頭が後からついていく、なんてことは絶対にないのです。獲物を目で追い、頭がリードし、カラダ全体がしなやかに動き、四肢が自由にのびのびと大地を蹴ります。

私たち人間も、赤ちゃんを見るとそれが顕著です。興味のある方向に目で追い、それに伴い頭が動いて、やがて寝返りをうつようになります。カラダを動かして寝返りをうっているのではなく、頭が動いてねじれながらカラダが動いてしまっているのです。

なのに、大人になった私たちはそれをまるですっかり忘れてしまったかのような動きをします。

子供の運動会の親の部で、一生懸命走って 転んでいる人が時々いますよね。「気持ちだけ先に行ってしまって、カラダがついていかなかったよ〜てへへっ」なんて言ったりしています。実は、カラダがついていかなかったのではなくて、カラダが先に行ってしまって、頭が置いてきぼりになり、顎を突き出したような動きになっていることが多いのです。それはどういうことを意味するかというと、ブレーキです。乗馬をしたことがある人ならわかると思いますが、馬を止めたい時は手綱をぐっと引いて、馬の頭を引っ張ります。 頭を引っ張ると、頭が脊椎に押し下げられ、動けなくなります。お母さん、お父さん、ブレーキをかけながら走っているのですから、カラダはしなやかどころかガチガチ、足の動きも制限され、もつれてしまうのは当然ですね。(はーい、私のことです。)

さて、最初にやった実験を思い出してみてください。[頭を動かした時]と、[頭が動いてしまった時]で、動きはどう違いましたか?頭が動いてしまった時の方が、軽やかではありませんでしたか?そして、カラダも自然とついていったはずです。ここが一番大切なところです。「動かそう」と意識してカラダの部分に力をいれる代わりに、首の緊張を解いて「動いてしまう」状態に持っていくことで、私たちのカラダ全体は、より大きな自由を手にいれることができるのです。

 

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【カラダ取扱説明書】人間のカラダは、すべてのパーツが効果的に機能しながら、全体が調和されて動くよう精密に製造されております。末長く、美しく、快適に使用するために、ご使用上の注意事項をあらかじめお読みください。

1)首は常に柔らかさを保ち、余計な力を入れない。

2)頭を押し下げない。

3) 胴体が長く広くなれるように解放する。

(Orange Network 2015年5月号に掲載)

 

1)カラダのデザインにあった「使い方」をしていますか?

FullSizeRender小さな子どもたちは、身体も柔らかく、のびのびと快活で、エネルギーに満ち溢れています。肩こりや腰痛持ちの子どもなんて、聞いたことがありませんよね?私たちもかつては、その子どもたちだったのです。一体どこでなにが起きたのでしょう?

「気をつけ!前へならえ!」たとえばこの号令。小学生の時から私たちは何度聞いたことでしょう。その号令に従って、胸を張りませんでしたか?背中を押しませんでしたか?足にぎゅっと力を入れて立ちませんでしたか?

そのどれもが、身体を固めて自由を奪う動きです。でも、それが“良い姿勢”だと思っている私たちは、しばしば身体を固めるのですが、身体には相当な負担がかかりますから、その姿勢は長続きしません。そのうち疲れて首が押し下げられ、顎が出て、背中も丸まってしまいます。

これはほんの一例ですが、このように教育や社会の仕組みの中で、あるいは長い文化の歴史の中で、私たちは身体のデザインにふさわしくない動きを強いられ、気づかないうちにそれが習慣となり、結果として自分で身体をいためつけてきていることが多いのです。

慢性的な肩こりや腰痛を持っている方は、けっこう多いのではないでしょうか。実は私がそうでした。「元々身体も硬かったし、毎日忙しいし、ある程度歳をとったら痛みとつきあっていかなくてはいけないものだ」と思っていました。もちろん、この私の“思い”は大大大間違いです。

体質のせいでも、忙しさのせいでも、歳のせいでもなく、私の場合は、日常の些細な動作のひとつひとつが、少しずつ、でも長い間、私の身体を虐待していたのです。

この気づきは、ショックでしたが、納得しました。痛みを生みだしているのが自分の行動なのだから、いくら素晴らしいドクターに出会って治療していただいても、その行動をやめなければ、いずれまた痛みはやってくる。“慢性的”というのは、そういうことなのですね。

これがキッカケとなり、私はアレクサンダー・テクニックを勉強するようになりました。もう100年以上も前からあるテクニックですが、今でも古びることなく使えるのは、単なる流行りではなく真理だからでしょう。

ジュリアードを始めとするパフォーミングアーツ系の学校では授業でも取り入れていますし、俳優やアスリートたちは自分たちの技術の向上のために勉強する人が少なくありません。

この場をお借りし、私が学び実践してきたことを読者の皆さんにシェアさせていただくことで、なにかお役にたてれば本当に嬉しいです。来月号から【カラダ取扱説明書】の本題に入ります。どうぞ、お楽しみに。

 

 

【カラダ取扱説明書】人間のカラダは、すべてのパーツが効果的に機能しながら、全体が調和されて動くよう精密に製造されております。末長く、美しく、快適に使用するために、ご使用上の注意事項をあらかじめお読みください。

1)首は常に柔らかさを保ち、余計な力を入れない。

2)頭を押し下げない。

3) 胴体が長く広くなれるように解放する。

(Orange Network 2015年3月号に掲載)

 

 

 

 

猫背が少しずつ治ってきたと思う。

「自分の動きを観察してみて!」

これは、アレクサンダー・テクニックを学ぶようになってから、何度も言われた言葉です。 アレクサンダー・テクニックを知るまで、自分の体がどんな風に動いているかなんて、気にしたことはありませんでした。

観察してみると、立ち上がる時、座る時、座っている時、立っている時、それぞれに様々な癖があることが分かりました。生きてきた中で身についた癖です。座る時は、ひざをくっつけて座り、座っている時は、右に傾いている。アレクサンダー・テクニックでは、その癖を見つけ出し、本来体が自然に動くはずだった動きに直していきました。それは、頭で分かっていても、実際やるとなると、とても難しいのですが、体が自然の動きに従った時は、学び始めたばかりの私でも「あれ?いつもと何か違う」と気が付くのです。

小さい頃から、猫背が気になっていたので、アレクサンダー・テクニックを習い始めてからは、どんな時に猫背になり、どんな時にそうならないのかを、いつも観察していました。そして、猫背だと気が付いた時、無理に正そうとするのではなく、自然に背筋をまっすぐ伸ばせるようになりました。

アレクサンダー・テクニックは、自分の体の中から自分を観察し、体を自然な状態に持って行くテクニックです。誰もが、自分の未来の為に知っておいた方が良いものだと思いました。

 

ライター 芦刈いづみ

首や腰の疲れや痛みが少なくなってきました。

私は写真家です。撮影では長時間立ちっぱなしのことが多く、首や腰に時々疲れや痛みを感じていました。そんな時に、このアレクサンダーテクニックを知りました。

自分の普段気がつかない癖や習慣から体に問題が起こり、また逆に、その悪い習慣を修正することで問題が解決するというお話を聞いて、レッスンを受け始めることにしました。

レッスンを受け始めてすぐに自分の体の問題点を見つけました。私は膝を突っ張ってロックする癖があり、それが腰に負担をかけていました。また頭も上を向いていることが多く、それが首に負担をかけていたのです。

レッスンの中で、体のどの部分にも力が入っていない、ニュートラルで楽な姿勢を学び、これまで普通だと思っていた姿勢が如何に体に負担をかけていたかを知ることができました。

最近では、日常でも頭の位置と膝の位置に注意して生活するようになりました。すると以前に比べて、明らかに腰の疲れ、首の疲れが軽減されていることに気が付きました。

自分の体の癖を知り、それを修正するアレクサンダ-・テクニックは、マッサージなどでは解決できない体の問題を必ず解決してくれると確信しています。

写真家 飯富崇生

パフォーマンスが輝いてきた。

私は人前でのパフォーマンスを仕事にしていますが、本番でここぞという時に力が入りすぎてしまい、失敗こそしないまでも、自分がイメージしていた形にならず、悔しい経験をしてきました。心身をコントロールし、パフォーマンスを100%輝かせたいという動機で入門しました。

レッスンを始めた当初は、自分が何を学んでいるのか全く理解ができず、果たしてこれで、自分に変化が訪れる日が、本当に来るものか、疑問もありました。

しかし、焦らずレッスンを続けていくうちに、自分の体の状態を俯瞰できるようになり、それが脱力へとつながり、特に楽器の演奏に関しては、音色の豊かさ、リズムの安定へとつながりました。

アレクサンダー・テクニックのレッスンはコツコツと地道なものですが、結果を急がず、しっかりと継続できれば、仕事に限らず、日常における様々な活動が好転するものと信じます。

関 博紀(アナウンサー、ミュージシャン)